発生学・再生学研究
両生類は、その進化の中で初めて四肢を得て上陸した脊椎動物です。幼生期にその多くは外鰓(がいさい)があり、水中生活をしますが、変態して上陸する事から両生類の名が付きました。
更に興味深いのは、3億6千万年程前に発生したこれらの種の多くが、非類なる再生能力を有している事です。日本固有の種であるアカハライモリでは、四肢や尾以外にも、臓器や中枢神経系の組織まで再生する事です。




自然保護活動
日光は尾瀬沼のダム化に反対した運動から、我が国初となる「日光の自然を守る会」が設立され、第一回 全国自然保護大会も開催された地です。
日本両棲類研究所では、自然環境調査、環境アセスメントをはじめ、繁殖時の轢殺から個体を守るサンショウウオ横断トンネルの設置や、人工産卵池の設置等、特に奥日光における両生類の保護活動を行っています。

世界初、人工サンショウウオ産卵池
奥日光太郎山付近
砂防ダム建設により埋没した北関東最大のクロサンショウウオ産卵池群を保護するため、栃木県と取り組んだプロジェクト。秋に落ち葉の除去を行い、雪解けの際の環境整備を行っている。

ハコネサンショウウオ横断トンネル
いろは坂
世界初、繁殖期の降雨時に華厳渓谷に移動するハコネサンショウウオが道路上で車に引き殺される(轢殺:れきさつ)状態を改善するため、山を下ってくるサンショウウオを雨水を利用して側溝に流し込み、揺り戻しにより個体に傷をつけず、更に側面にはネズミ返し様の構造にして道路側に登れない設計とした。
道路を横断するサンショウウオを保護するため、栃木県と取り組んだプロジェクトである。
学術研究委員会

委員長
阿形 清和
基礎生物学研究所 所長
1954年生まれ
1979年 京都大学理学部卒業
1983年 京都大学大学院理学研究科修了
1983年 基礎生物学研究所 助手
1991年 兵庫県立姫路工業大学 理学部生命科学科 助教授
2000年 岡山大学 理学部生物科学科 教授
2000年 理化学研究所・発生再生総合科学研究センター
進化再生研究グループ グループディレクター
2005年 京都大学 大学院理学研究科・生物科学専攻 教授
2016年 学習院大学 理学部生命科学科 教授
2019年4月~ 基礎生物学研究所 所長
趣味:サッカー、山登り
興味のある分野:生きものの再生

委員
秋山 繁治
南九州大学教養・教職センター教授、博士(理学)
1956年生まれ。
2011年 広島大学大学院理学研究科生物科学専攻、後期博士課程修了。
1984年から2016年11月までノートルダム清心学園清心女子高等学校教諭。
2016年12月より現職。
環境省希少野生動植物種保存推進員
趣味:スポーツ観戦
興味のある分野:イモリ・サンショウウオの繁殖戦略について興味をもって研究しています。

委員
飯郷 雅之
宇都宮大学農学部教授
博士(農学)
1964年生まれ
1989年 東京大学農学部水産学科卒業
1991年 東京大学大学院農学研究科水産学専攻修士課程修了
1991年 聖マリアンナ医科大学 医学部解剖学教室 助手
2000年 聖マリアンナ医科大学 医学部解剖学教室 講師
2002年 宇都宮大学 農学部 助教授
2007年 宇都宮大学 農学部 准教授
2013年〜 宇都宮大学 農学部 教授
趣味:登山,山スキー,硬式テニス
興味のある分野:体内時計,季節性生物学,生物多様性

委員
西松 伸一郎
川崎医科大学 自然科学(生物学)教室 准教授
1963年生まれ。
都立両国高校,筑波大学,筑波大学大学院,ニューヨーク州立大学・研究員を経て,
1997年川崎医科大学分子生物学教室講師となる。
2016年より現職。
趣味:古書店巡り、Zumba
興味のある分野:発生学と建築。何もないところから形ができるところに興味があります。